冬の裂傷/ふるる
 
君が手をあげて
頬を打った、訴えた、ギミミミ ミ
海峡も凍る、冷たい身体
薄い刃
三本の裂傷
赤どくんどくんにじむ、さいなむ、

閉鎖した屋上から落ちる夢さえ見せない、見せてくれ、ない、
校内、裏放送、果て、しない雑音
理科室は青白く燃え崩れ、吹雪のようにかすむ階段
トルソーが落ちてくる、まち針をあちこちに刺され、たまま、
そして雪崩れる、ただれる音楽授業
振り上げた、教師の唇はひび割れ、ギミミミ ミ

無、意味、いみ、
その傷からほとばしる、知る、痛みは美しい、
響きだ光だ幻だ
き み に
見えるかいあの、冬の鉄鎖に縛られた白い足首、
もつれからまる足を触る
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