それは青い薔薇(即興)/もっぷ
この世に生まれて以来わたしは、母の愛を知らない
産んだ女性はもしかして、母なのかもしれないけれど
いまわたしは泣いている
生まれて初めてのことのように
いまわたしは探している
それはたとえばパトラッシュ
いまわたしは人間で
理解をすでに求めてはいない
いまわたしは人間だけれど
それは錯覚かもしれない
わたしの部屋をあなたが訪れ、一つの花を視るとして
わたしがそれは青い薔薇だと、あなたに告げてどうなるか
あなたは暫くそつなくこなし
噂を土産に帰るだろう
「あれはやっぱり狂ってた」
「、人間じゃない、人間だけど」
「あれは楽しむためのもの」
「あれに心を視ちゃいけない」
「もとよりそんなのあるものか」
「それよりケーキを食べないか」
(ちいさな声で言うけれど、あれにはケーキはないってさ)
(朝のパンすらないってさ)
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