凍るまで冷え切っている/這 いずる
カツカツと甲高い音を立てて
小さな体を精一杯伸ばした君は
誇らしげに指をしめる金属を
見せびらかすけれど
そこに叩き付ける冷たい息を
吹かせているのは僕であって
じんわりと体温を奪っているのに
気が付かないのか
それともそんなふりをしているのか
素知らぬ顔であたためなおしてって
コンビニで言うように簡単に言った
金属に吸われた熱は空気に散布してしまっている
君が降らした雨がほとほとと落ちて
雫が金属の輪に引っかかり拭われ
凍りつかせるどちらもを
冷えきった君に触りたくないから
あたためる手段も持たないし
隣でじっと立っていた
立っているのは乾いた地面だった
水たまりもなく
しめった空気も感じない
線引きをしているつもりはなかったのだけれど
浸食しない君の世界は冷たく滲んでいく
眺めているだけの冬の空気
空は晴れてカラカラに晴れて
カンカンとどこかの小火騒ぎを聞く
影が落ちて地面にぼんやりと柔らかく僕の形を描く
そんな晴れた冬の
戻る 編 削 Point(2)