きれえごと/虹村 凌
は、不味いのだと知った。
小児科に入院していたので、周りに同年代が居なかった。
本を読んでいた。
絵を描いていた。
そんな毎日だった。
色んな病気の子供が入院していたんだろうと思う。
外の人は、汗にまみれて、一生懸命働いていた。
同級生は、尾瀬を歩いていた。
平等なんて、きっと無いんだと、思った。
欲しかった山登り用ブーツも、ドラムバッグも、リュックも、水筒も。
買ってくれるって、約束していたから、俺は楽しみにしていた。
尾瀬に行けるんだと、思っていた。
だから、期末試験にも出ないで、入院したんだと思っていた。
でも、実際の俺は、病室で、すっと横になっていた。
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