雪紙マイナス五度上の白詩人/千月 話子
 
染み一つ無い真白な紙を埋め尽くす
白い詩の燃え尽きた詩人よ
家中のペン先が折れ曲がる筆圧で
描く 角張った情景
放り出した原稿のマス目から
飛び出す遊び文字を拾い集めて
茹で上げる アルファべットパスタで
食べ尽くす 正午


十五枚目で挫折した
いつも、いつも 十五枚目だ!






ため息が凍りそうな曇り空の
明日アスファルトは雪の白板
何を書いても許される隠語の
断層化するという幻想
溶け出した皮膚文字を食べる
雷鳥の白く消え行く山頂
上に立ちて発する猥褻も
湾曲するヴィーナスの腰布に隠れて
香、放ち 風に揺れる
落丁したロマンス小説の
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