霧/葉leaf
 



霧によって大気が見え始める
霧は大気を着色するのだ
だが霧は大気に代替し空間に代替する
もはや大気も空間も存在せず
そこには霧があるだけだ
満たすということは
満たされたものを抹殺するということ
霧は食べ続けている
地上に降りた異常な食欲そのものとして
人々の朝の心地よい目覚めの瞬間を
勢いよく食べつくす
だがこの蚕食によって風景も人々も
一日を迎えるために整えられるのだ
霧の不透明さは未来の不透明さであり
過去の不透明さであり
現在の不透明さである
霧の中を歩むとよく分かる
ほら、髪が濡れるだろう

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