掌の月/
一筆
天に輝く月をみあげて
あれが欲しいとおまえは泣いた
水を両手にすくいためれば
掌に小さな光の幻
それは本当の月じゃないと
おまえは唇をとがらせる
おまえの見ているその月と
今手の中にあるものと
どれほど違うと言うのだろう
この手に掴み取れるものは
仮のまぼろしだとしても
月は月
それでもおまえはうなずけないか
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