鏡の中のアリスへ/たいら
 
歪んだ環境に俯く日々
誰とも目を合わさずに済むのなら
そんな風に生きてきたある日のこと
ふと顔を上げると貴女が居た

哀れな私を笑うでもなく
かと言って憐れむでもなく
遠い目で、私を見透かして
その向こう、誰かを探してた

わかるよ
うさぎを探しているのでしょう
幸せの象徴を追って
落とし穴に嵌まるんだ

そんな貴女を救いたくて
でも伸ばすべき手はポケットの中に
何かを掴む勇気も誰かを救う優しさも
私は持ち合わせていなかった

伝えたい言葉は
「初めまして」でも
「ありがとう」でも
「愛してる」でもなくて
きっと、たった一言
「ごめんね。」
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