歳時記の白い栞/もっぷ
 
綴られて次の頁へゆく前に
少女はもう一度 花野へ足を運んだ
静かな色彩の秋の花花に
じっと見入っている
草の実が、
ぼくたちも居るよ
とそっと少女に言いたそう
けれども時は待ってはくれずに
雪の頃が訪れた

少女は そこ に居なかった
雪の降る里のどこを探しても居なかった
だれも気づく他人(ひと)もなく
また時は流れ
明るい気配とともに獣たちが目覚め
雪も消え あの野原が土肌をみせはじめる
色彩は白から順に 黄唯色そして 青
そういうほがらかが野原の息吹をよろこばせている

、いつまでも白いものが 転がってた
気づく他人は居ない
時は逆行をせずに桜花を散らし
風がそれをどこかへと運んでゆく


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