白雨/itukamitaniji
 


しとしとと白雨は 夕方の街に降り注いでいる
抜け出せなくなった 僕を置き去りにするみたいに

歩いていく背中は 雨の向こうへ小さくなっていった
あの人みたいに ずぶ濡れても歩き出す勇気が僕にもあれば
今よりはもっと いさぎよく人生を歩けたのだろうか
そんな勇気を 今さら振り絞ることもなくなったのだ


ざぁざぁと白雨は 夕方の街に降り続けている
それはとてもきれいで 長いこと僕は見惚れていた

傘を差して歩く人 開き直って濡れながら駆ける人
そして雨宿りをする人 雨はすべてを飲み込んでいく
ほんの少しだけ 立ち止まっているだけと言い聞かす
この雨が上がったら 僕も遠くへ行けるだろうか
戻る   Point(4)