風の舌(六)/信天翁
 
手入れが欠けた裏庭には
跋扈したぺんぺん草が 王者となって
むなしいかげを ふるわせている

神楽月というのに
優雅な舞楽は 聴き取れず
沈滞した深閑だけが 満ちみちて

丘のひだにも漂いはじめた
晩秋のいろとかおりが
こころぼそくも しんみりと
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