闇/葉leaf
闇はいつでも闇になり切れていない
なるほどそれは闇なのだが
闇であることとどこか違えている
だがこの闇であることとの違いこそが
闇を形成しているのだ
何の間違いのないものなど
この世に存在してはいけない
闇は間違えることによって
はじめて辺りを暗く覆えているのだ
昼間の様々な出来事の上澄みを
全部混ぜ合わせることで夜の闇が出来上がる
夜闇は昼の光の変形であり総合であり末裔である
だが闇は完全に均一で
もはや昼の光など忘却してしまった
この忘却そのものとして
闇はあてどもなく呼吸を続ける
闇を叩き割るためには
こんな静寂では足りない
極限まで静かな
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