雲をこねて、波を泡だてる/即興ゴルコンダ(仮)投稿.92/こうだたけみ
 
雲をこね波あわだてし、省く文字。を残すことはリズムを意識的に落ち着かせることであり走りたがりの私の言葉に歩けと命じることでありまるで囚われの身にでもなったみたいに不自由なのに息を、

詰めたままであることを、思い出させてくれる。

海風が、雲を散らしつつ波を荒立てるさまを見るように、私は、この体の呼吸に耳を傾けられているだろうか。そういえば、「ら抜きの殺意」という有名な芝居は、タイトルばかりが頭に残って内容を知らないままでいた。いま正しいとされる日本語が、いつまでも正しいとは限らないのに、そのなかで登場人物の死が描かれるのだとしたら、それは言葉による殺人と言えるのではないかと思う。 ぼくは言葉のなかで死ぬ、と書いたのは田村隆一だったけれど、暴走を止めずに潔く死んで見せることに、少し憧れすぎているのかもわからなかった。散らさずに雲をこねて、波を荒立てずに泡だてる風は、生かしてくれるだろうか私を、わたくしのシを。
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