「わたしのために」/もっぷ
 
永遠が一億を超えた島を見て 賄えない と嘆く神さま


まなざしを空へと教え導いてそのまま飛んでいってしまった


つぶやきにうなずくきみをみあげると秋の日差しのなかの黄葉


ねこじゃらしごめんねと云い今月もカメラの修理を怠る 孤島


永遠をさがしていますわたしではなくて十月あなたのために


椪柑のころ待ちながら夕焼けの橙色を絵筆に載せる


あと三夜眠れば君の誕生日 知らない町で君は生まれた


十月の風に間に合うカメラ持ち訪ねてみたいねこじゃらしの里


嬬恋の水のボトルに水道水汲んでリンドウばかりみている


通学路選んで轢死の猫が居てあの日わたしは七歳だった


秋光の穏やかな電車の椅子に座るこどもの服のなかの痣


異音する愛車の修理無事終えて帰路こぐわたしの「わたしのために」


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