ソレイユ/wakaba
のことを思い出してしまった。
あの日母はハンカチーフを噛み締めて絶叫していたし、父は口を全開にして地蔵のように動かなくなっていた。20型の最新カラーテレビだった。ナショナル製の高級カラーテレビだった。家族自慢のカラーテレビだった。僕が壊してしまったのだ。ゴミ収集車に持っていかれてしまったのだ。
身体が熱くて焼けてしまいそうだった。
相変わらず僕の頭の中ではゴミ収集車の音楽が鳴り響いていた。あの音の割れたモノラルの音楽がいつまでも鳴り響いていた。この世の平和を、地球を、僕の身体を、僕の思い出を、全て引き取るかのように。
鳴り響いていたのだ。
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