闇(くら)いところより湧くもの/
貝の石
その影は赭(あか)い
一切の善を焼き尽くさんばかりに赭い
人の形(なり)をしているようで
その実
無形(むぎょう)の怨(おん)である
直と喰らい憑き
針ほどの穴を瞥(み)つけるや
抗う間なく
あれよあれよと染め上げる
躙(にじ)りと寄った一点の朱あり
赭と燃え上がらん
この瞬く間
怨
と哭(な)いて身は滅び
髓失くなりとも
劫火は沈まぬ
果てなく燃ゆる
その影は赭い
しかし時に闇い
そして
時に人の面(つら)をする
戻る
編
削
Point
(2)