虚の器/葉leaf
この降っている雨粒をすべて集めても
なお余りある巨大な器がある
この限りなく大きな器は
怒りか悲しみか諦めか安らぎか
いや、すべての感情を兼ねることで
もはやすべての感情を超越している
際限のない超越を繰り返していくだけの虚の器が
今、私の掌の上で雨を集めている
集めるのは雨粒だけではない
身に降ってくる好意や悪意や僥倖や災難
それらがいかに衝撃の強いものであれ
この掌の虚の器の中に小さく収まってしまう
私は死んだ人間の顔で器を見つめる
そのとき私はもっとも生命に輝いている
私もまたすべてを兼ねることで
もはや何者でもなくなってしまった
限りない超越を繰り返すだけの
虚の器そのもの
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