スタンドアロン/管城春
めの
愛情は鉱石のように冷たいのでしょう
身動きが取れないね
ここはパーティーのまんなか
華やかなテーブルクロスに隠れて
秘密の約束をした
わかりあえるなんておもわないでね
蜜のように冷徹であれ
打ち込まれた錨鎖が絡みついている
流れてゆかないのはからだが死んでいるから
言語だったはずの声が肉体をもち腐ってゆく 腐ってゆく
循環を眺めては
呼吸をなくして
口を噤んでいる
室内の透明な瓶にプールされている
照らさない方の光が加速してはいなくなる
浴室に沈み込んで安寧を組み立てながら
なにも降らない静謐を握りしめている
見えなくなったのは盲いたからではない
わたしは石として沈黙する
最後尾は遠ざかる
生存を希んだ方向へ流れてゆく川を
遠くの木の下からただずっと眺めている
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