飼い主のない猫/AB(なかほど)
 
三丁目の角を曲がったところでふと
君の匂いを感じたとき
なんてことないと思っていたのに

電子レンジに卵を入れて
しばらく眺めてから取り出し
破裂するかどうかを少しだけ考える
あれと似ている

子供がもらってきた風船は
気付かないうちに
しぼんだ姿になっていくはず
それも似ている

なにげない風に吹かれて
キジムナーに憑かれたら身震いするんだよ
ってそれ武者ぶるいっても言うんだけど
これも似ている

何気ない言葉で
それで
傷付いたり笑ってしまったりできればいいのだけれど

何気なく通り過ぎた言葉と
何気なく通り過ぎた風がつついて
忘れていたような
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