ホログラム/水町綜助
口を開けばこの世におわかれ
結局その理由がわからなかった
全て終わってしまった衛星都市で
いくつものぬけがらだけが
からからと丁寧に掃除されている
野良猫たちはそれでも
誰かに餌をもらって生きていける
輝きに背いて
地下にて
音の跳ね返る無数の点が繋がって
やがて線になり輪郭になった身体
煙のなかに逆巻く風の形のように
煙のなかに射し込む光線のように
それ自体形をもたず
空洞に刻み付けられた刺青は
幸福の姿をしていた
何かの祈りを口にせずに
ただ思い描いているだけみたいに
縁だけが取られて
空、だからいつだっていなくなれる
今どこにい
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