月への軌跡/香椎焚
 
穴を抜けると異次元なのだ
自転車で坂道をまっすぐに下っている時も
ライトを点灯しないのはこの為なのだ
気を付けな君も見られているのだ


(即興4)

どんなものにもそ知らぬ振りをして
誰からの理解も求めない
そういう姿に憧れて
今日、寄り道

どんなに形を変えても
おぼろげな光
誇ろう
誇ろう


(即興5)

月は
常に時空の亀裂に存在するので
見たいときに見られるというものではない
しかし
空想の夜さえも
同じ月が支配していた


(即興6)

月ほど自由でないものはない
結局私たちから離れられない
そして月はついに意志を殺し
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