悲しい君に/這 いずる
 
泣いている猫に
どうして泣いているのと
問いかけても
それの応えはなく
泣いている鳥に
どうしてなの、と聞いても同じで
君に尋ねても同じで

わからなくて
空を見上げて
君だけのことを考えたけど
わからなくて
やっぱり
二人一緒になれなくて
お互いに一人ぽっちなんだと思ったのよ

それはきっとBBQをしている楽しげな河川敷を
一人橋の上から見つめているような
香りだけ共有しているような
そんなもの

淋しい匂いの空気を捨てたい
その気持ちだけが
流されてしまえばいいのにと思って
川を氾濫させてしまえば
なんて

それが私の心のさみしさで
貧し
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