嘘(仮)/伊藤 大樹
 
なにも捨てなくてよくなり
だからゴミ箱はまっさらなまま
霧のように
きみの気配がただよってくるまで
ねむらずにきみを数えるだけでいい

返信しない手紙が積まれ
日が沈み
離れていくことによって
ゆっくりきみを喪失している

まぶしさのために
開けなかった窓を閉ざし
何処へ行こうかと
逡巡していると
朝が来て
嘘をつきました

わたしはきみの見知らぬ隣人でありたい
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