悟り/葉leaf
。ところが眼が真理を捕えたと思った次の瞬間、真理はもはや何億光年もの彼方へと飛翔してしまっているのです。真理はその存在の影を感覚させながらもその内容を決して認識させない。痕跡でも幻でもない存在の影として、真理は僕から何度も逃亡しました。真理に到達したという目の覚めるような恍惚の次の瞬間には、真理を捕え損ねたという失意が僕を包み込むのです。」
20代半ばごろ、私は自分の感受性を持て余していた。異様に研ぎ澄まされた感性によって、次から次へと思想や認識や創造のアイディアが閃くのだった。物事が閃く際のエクスタシーに私は酔いしれたし、半ば中毒に陥っていた。私は旺盛に思索し、詩作し、批評し、文章を綴り上
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