路傍の一生/這 いずる
いた
ああ、季節の巡りよ
果てのない人生の繰り返し
私を早く置いていってくれ
【19】
訳の分からないまま、生活をしていて
それでいいの、と頷いていた
馬鹿な私
その時は幸せだった
確かに生活は幸福の形をしていて
人それぞれに幸福の種別はあるからって
自分をなだめ
おかしいはずなのに
怒鳴られ、殴られ、金を取られ
それは当たり前のようにあったから
人と比べることなんてしなかった
幸福なあの頃の生活
【000】
振り返れば幸福は至る所にあって
気が付かなかった自分を笑い
路傍の石を拾い、大切に撫でた
それが幸せっていうものだろう
陽に照らされていた石
ほのかに温かかった
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