私小説/這 いずる
 
らなくて
つまり何でも
すべてが
どうにでも
良かって
それでこうなったのだと思う

誰も教えてはくれなかったという甘さが悪い

白塗りになった肌を晒し
指をさされて哂われる
ひどく惨めな思いをしているのに
誰もそれを知らない
誰が白を塗ったって
わたしが白を塗ったのだけど

じめっとした白をひと塗り
ひと塗り重ねて
惨めでいている
それって誰のせいなのか

人に指をさされるのは誰のせい
わたしのせいで
わたしのせいでしかなくて

「意味なんてなかった」それって
抜けた人からすると正しいことなのかもしれない
この世界しかないのだから
これに意味を見出すしかなくて
それってどういう事なのかまるで解らなかったけれど

負の感情はすべて隠し
何にも無かった事になって
明るい未來だけで出来ている世界
そんな世界の明るさを集めている光が
陽になって照らす

木の葉は覆い隠しわたしの頭上に
影を

たまに洩れる光に焼かれる
この場所は
じめじめした苔むした場所
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