私小説/這 いずる
じめじめした宇宙を超えて
超特急でやってきた光のような木の葉は
木漏れ日を作りかさかさと
太陽を覆い隠している
その陽に焼けた赤は紅葉(もみじ)のようで
じめじめした界隈を抜けて
出てくる人はこう言う
「意味なんかなかったよ」
それってどういう事なのか解らなかったけれど
陽に透けた紅葉(こうよう)は
虚偽の日に覆い被さり
それってどういう事なのか
つまりそれってどういう事なのかって事なのだけど
なんでもいいって感じでしかなかった自分
わたしはじめじめした世界から飛び出せなくて
どうしてもって言われて残っていたから
思うこともあったのさえ解らな
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