戦後詩を現代に読み直す際の留意点/葉leaf
るが、その深層には戦時の荒廃がいつまでも残り続けた。そして現代は一見平和である。平和な時代、人々は語るべき実存上の問題を持たず、ひたすら水平的に言語的な実験を繰り返しがちのようにも思える。だが、現実は、平和と思われている現代においても個人の生々しい傷は頻繁に表現される。
そもそも、戦争という体験はもはや相対化されなければならない。もちろん震災にしてもそうである。戦争でも震災でもなくても、個人の人生は悲劇に満ちているわけであり、平和な時代に例えば虐待などの悲劇が詩化されても一向におかしくない。そして、悲劇もまた相対化されてしかるべきである。詩人はもはや不幸である必要がない。栄光や喜びを詩として歌
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