戦後詩を現代に読み直す際の留意点/葉leaf
第二次世界大戦は未曽有の惨事で多くの人たちの心に傷を作った。単純に図式化すると、詩には二つの直行するベクトルがある。一つは、詩が実存や傷から垂直に表現されるベクトル。もう一つは、詩が言葉の次元で綾を織り成す水平的なベクトル。戦後詩には当然戦争の傷から発される垂直的なベクトルが強く作用しているわけであるが、そこにはモダニズムその他の様式上の要求から水平的な圧力が常に作用していた。いわば戦後詩は斜め上方へと表現されていったわけである。その斜め上方へと向かう向かい方も、詩人によって様々だった。
また、戦争と平和という対立軸も重要である。戦後、人々の心は平和へと向かっていったわけであるが
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