無限/葉leaf
小中高と、私は特に難儀なく生活していた。なぜなら世界は有限だったから。私は小さな部屋の中に運び込まれる荷物を丁寧に整理していればよかった。その小さな部屋をいつでも照らしているたった一つの月があった。それが私の理想だった。私の理想は単純な真理であって、そこへ向かう道筋以外のいかなる道筋も否定していればよかったのだ。
大学に入って、私の部屋の四方の壁は取り外された。そこには無限の世界が広がっていた。私の彷徨う原野に道はなく、道らしきものは無限に錯綜していた。偶然落ちてくる鳥の死体を手掛かりに、私は道を見定めて一歩一歩地図を描いていった。私はもはや、他人と同じ部屋の中で他人と同じように荷物
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