コール/高橋良幸
 
かめてから家を出たのだったか
気づいた時にはもう遅いという歌のバリエーションを
いくつもの世代が歩道と歩道橋とで耳にしていた
空腹に対応する文字を自ら列挙せずとも
そのように市街はできているように見える
ほら、胃袋を看板にしたようななかにも
ああ、ちゃんと人が集まる理由を
提示してあるのが見えるでしょう

歩く、最中にコールする
黒を白に換言し、あからさまなルビをふり
声に出しても、印刷に出しても、「重ね合わせ」されたページの本音の裏に
コペンハーゲン的な為政者の観測を待つしかない
なにせ、ほら、信用ならない、
至高の建前を抱えたままだから君の言葉は
どんな鬨の声のうしろを尾いていこうか
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