コール/高橋良幸
 
いやだいやだ、こわいなあ、こわいナァなどと
怪談ばなしのように唱えていた矢先に
とはいえ、季節は残暑で
玄関が雑然としていたのをきっかけに
勢いをつけて飛び越えてしまったがため
ついこの世界にチェックインしていた
つい、多世界のひとつにチェックインしていたのだった

かかとの位置がどうもちがうらしい、のだろう
なにせ原子核が崩壊しても姿を見せないままだった
野良の猫が生きているのか死んでいるのかは
パブロフの犬も訊ねるまで反応の仕様がない
ときの政府が解釈をするまで、
国語が読めない国民によく似てる

さいを投げ終わってから目がでるのだったか
火の元と戸締りを確かめ
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