うつくしさ/這 いずる
しく、輝かしく
世界を拒絶するには十分で
拒否の跡に苦しむしかなく
どうしてもと乞われて
美を分け与えた
それはとても安く売れて
わたくしの最も大切なものもそのような扱いなのだと知り
一層悲しくなった
前から悲しんでいた事が何かは知っているでしょう
知っていたのに何をするの
竹林にまぎれる姫の錦を
なでさすり、ひとときの美しさとは
何かを理解した
ただひとときあれば十分で
そのひとときで姫の吐息を頂戴し
至福の事とした
ああ、わたくしの大切な美よ
生きる指標よ
そのままでいておくれ
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