自由/葉leaf
 



砂時計の砂が一粒落ちる音にすら
倒されてしまう早朝
脳漿が社会の至る所まで飛び散っていて
もはや社会の全てと自分は関係している
関係という依存と懐疑
私には初めから自由などなかった
すべてこの物質的な社会との物質的な関係によって
強引に決定づけられてきたのだ

家々の明かりが見える
私は全ての家の呼び鈴を鳴らすが
誰も出てこない
そもそも誰も家に居なかったのだ
私の人生はこの寓話で説明できてしまうほど
単純であっけなかった
人生などもったいぶらず
全部寓話になってしまえばいい
細部やら不条理やら
全て寓話につぎ込むといい

行先は既に決定されているが
私には決して知らされることがない
知らされることがないまま
未知の行先に行っては
その地が僥倖だと信じ込んでしまう愚かさに
私は慣れてしまった
私に自由などひとかけらもない ただし
自由にならないわが身を憂い不安になる
不安の自由だけは無限にある


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