刃の上/大覚アキラ
地下鉄のホームに立って
銀色に光るレールを
じっと眺めていた
薄暗い水銀灯の光を反射して
日本刀のように
静かな輝きを放つレールを
瞬きもせず眺めていた
このレールがどんな金属でできているのか
そんなことは知りもしないが
たまたまこいつは
この時代に
この場所で
レールになっただけで
時代が違えば
どこかの侍の刀になって
誰かの首でも
刎ねていたのかもしれない
そんなくだらない思いつきを断ち切るように
地下鉄は勢いよくホームに入ってきた
真っ暗闇の中
人生を乗せて走る鉄の箱
走る
走る
刃の上
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