ハニービー/がらんどう
スプーン一杯の蜂蜜を注がれた耳は内側に発芽する
そうやって きみは女王なんかじゃない と羽音のように囁くのだ
左脚だけで歩く纏足のきみは
琥珀詰めの鱗翅をポケットに閉じこめ
鎖骨につながれた一枚の薄羽を夜に透かす
天蓋の茨をむしり取る半身は造花のベッドに横たわり
枯渇した泉に映る二重のきみは 忘却の中でひとつになる
癒着した砂岩に 風穴を穿つのだと
そうやって ただロシアンティーを零すのだ
鳩時計の亡骸の下できみを待つが
辿りつかない
冬時間が染み出す六角の石棺から
濡れそぼつ舌は抜け落ちて土を這うのだ
風笛よ 羽音のように 散れ
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