花、枯木/大山猫
 
前に
            花開くのか―

魚たちは見守る
彼等の鱗は柔らかい
彼等は微塵も動かない
彼等の目は閉じることが出来ない

  今や、
    何処へ
      煙はたなびいていくのだろう―

木々は既に醒めることも眠ることもなく
花だけが
夜の奥へと旅立っていく

誰のものでもないもの
触れることのできないもの
残影

我々は死んでいた
死にながら空を見上げ
時の中へ旅立っていくものを
土の中から
過去の方へと見送っていた

    ―誰も戻りは
         しない―

(花
 或いは枯木の夢)
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