四丁目の花屋さん/もっぷ
だけ
なのかしら
お店の涼しいところに置かれた
珍しい花に目をやった
名前、知りたいか
と
尋ねられ
いえ
と、応えた
自分で調べたいですから
……もしかしたら ご主人は
話し相手がほしかったのかしら
返事、失敗したのかなって
ドギマギ
してしまった
珍しいお花 買って帰りたかったけれど
これから出かけるところだったから
帰宅時には
って
そう 思いながら
わたしは歩き出した
少しだけ
(本当は、とっても)
泣き出しそうな顔した ご主人
初めて見た
時計が
許さないので
切ない想いを 持て余しながら
ご主人に
行ってきます!
と
できるだけ、元気良さそうに
笑顔を見せて
その場を
立ち去った
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