時限爆弾/伊藤 大樹
 
時が 煉瓦のように
積まれていく
臨界に達したら
この窮屈で鬱陶しい街も
木ッ端微塵 吹き飛ぶ
わたしはもうとっくに不在しているのに
街だけが存在しているのは
なんとも  気持ちが悪い

戦争なんかでは滅ぶべくもない
平和とは 一度手にしたら
執念く 随(つ)いてくるもの
だからわたしたち
いつも怯えていなければならない
悪夢は やさしさの陰に
それとなく紛れ込んでいるから
地面が抜け 天が落ちて来やしまいかと
要りもしない恐怖に
身を震わせた杞人のように

馬鹿らしい歴史をさんざ繋ぎ留めておきながら
これ以上 どう佇めばよいと云うのだろう
ただ呆然と空を眺めることのほかに
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