ココアの香 #3/うたひと
 
解してるよ」

君は 何かをあきらめたように 上を向いたまま
「雨の日によくこの喫茶店に来るの
 この青空の天井を見に来るの」
声がかすかに震えていた

僕は素直に君の顔を見つめていた

ふたつの しずくが君の頬をつたって
ポトリとテーブルに落ちた

はじめてだった

君が泣いている

「あっ・えっ・えっ」と
僕はどうして良いのか分からなくなって
あせって
スゴク あせって

「あっ 暖かいココア2つお願いします!」って叫んでた

つづく


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