ココアの香 #3/うたひと
 
「ちゃんと私を見てよ ! 」って
君の声が目覚ましのベルのように響いて
僕は喫茶店のイスから転げ落ちそうになった

「あなたはいつもそうなのよ
 なに考えてるのよ
 また妄想にふけって」
「ちゃんと私を見てよ
 私はここに居るのよ」って君は言って
青空が描かれている喫茶店の天井を見上げた

「君と君の親友が同じ彼を好きになって
彼と君の親友と君は同じクラスで
彼と君の親友が一緒に居るところを見るたびに
君は切なくて胸が張り裂けそうで
嫉妬にかられる自分が嫌になって
どうして良いか分からなくなって
ここで会おうって僕に電話をくれたってわけだろ?
ちゃんと話は理解し
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