想いはかすれて(四)/信天翁
 
 朝がない 昼はない 夜もない
  卒寿のおひとりさまにあって
   ただ「時」だけがながれる
    さらさらと音もなく──
     なのに「空」の範疇は
    花火の音で拡がっている
   渚のひびきでゆらいでいる
     そぅして あわれにも
      いのちのともしびは
 無聊の垣根にうずくまっている
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