狐が見た夢/
斎藤 九
呼び声が聞こえた
小さな鳴き声
誘われたような気がして付いていった
ひたすら甘言を囁く
それはまるで悪魔のよう
でもそのいたいけな容姿は
とても悪魔には見えなくて
ついつい頭を撫でてしまった
カシャンという音がした
足に枷がついてしまった
狐は人間でもないのに
得意げにニンマリと笑った
狐は夢を見ていた
手に入れるなら
甘言も
可愛らしい容姿も
気づかないように罠をつけることも
何もかも手段は選ばないことを
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