古き良き坂道で/千波 一也
 


おだやかな午後を歩くなら
ゆるやかな上り坂がいい

日常の片隅に
忘れ置かれたような
近くて遠い坂道がいい

陽光と、微風と、なつかしい匂い

その再会は
ひとつの約束を果たしたような
心地よい疲労をくれる

脈々とした日を思い描くなら
ゆるやかな上り坂がいい

ささやかな金いろの
或いはわずか青いろの





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