散って野/
榊 慧
「車窓より」
つばめが飛んでいる
枯れた木の上
民家がすき間をうめるように
直角平行の、
この時期田んぼは茶色、
僕が死んでも。
象牙の塔
俺か世界か、
俺と世界。
外、立つ半透明の霧が言う、
「死ねるぜ」
目線は飛ぶ飛ぶ
俺と世界の、
台形
の
上、
ひとり、
坂だ
あわい坂だ
青磁色の
白っぽく枯れた
植物ら
の
植物ら、
を
土となるまで
野である。
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