雨の朝/葉leaf
 



雨の朝、地図は濡れて滲んでしまった。だが世界は何よりも詳細な地図。経路を一つずつ抜き取っては、オブジェを作り上げる。今度の地図は庭にしつらえられたオブジェであり、どんな雨が降っても壊れない。雨が降り続ける。雨には雨の地図があり、いつどこに降るかという予言された地図だ。

雨の朝、雨音が騒がしくて心がざわめく。だがよく聴くにつれ騒がしさは音楽となり、何かを始めることを遮断する音楽であるかのようだ。だが始めることは沢山ある。自分の血の流れ、瞬き、それらの音楽はもはや全てを始めてしまっている。雨の朝、雨の音楽と自分の音楽が拮抗する。

雨の朝、一面が特殊な絵の具で塗られたかのような暗さ。この絵の具も他の絵の具と混ぜると、目にも鮮やかな色になるに違いない。雨の朝、古ぼけた油絵の具を取り出して、パレットに落としてみる。この絵の具でとりあえずはこの朝を描いてみよう。見違える明るさがそこに待っているだろう。

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