伝播しろよ箱の中/
這 いずる
四六時中垂れ流されたテレビを前にし
混乱の脳で端から笑っていき
どこが可笑しいとあげつらっていく
白い箱での生活は
同じ番組しか流れない
繰り返し曲芸を見ている
見たものの面白さは忘れて
また新しいものをと求め
それで失った芸は
古くなって
ああまたねと笑われる
ピエロでいた俺は
こんな滑稽さだったんだろう
同じ局面で同じように役者がやるから
同じように笑ってあげる
それが優しさだと信じて
伝わらない画面の向こうへ
戻る
編
削
Point
(1)