秋の旅/葉leaf
 



電車がぐいぐい風景を牽引していく
人生のように目まぐるしく暴力的な窓外の風景
自分の人生でももはや傍観者だ
たくさんのことを諦めてしまった
今ドアをこじ開けて
窓外の暴力的な推移に
飛び込んだとしても怪我しかしない
人生が治まるとき
停車の瞬間にこっそり干渉する
すると風景は静かでもはや時間は流れない
永遠の中を歩行するのだ

電車は空無を破壊して
無理やり自分の体をねじ込む
限りない可能性に満ちた空無を破壊して
車両は部屋にしては
余りに視覚と運動感覚を詰め込んでいる
部屋とは限定する空間のはずだが
車両は限定から逃れようと走り続ける
新しい限定
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