鯰/北村 守通
 
葦際だった
確かに
葦際で跳ねたはずであった


  通り過ぎた
    水際で


  また
   一つ


    葦が揺れる
          葦が割れる
    葦が閉じる
      葦が指を指す
          葦が指当てて

    黙って頷く


足音殺し
息殺し
しみる汗さえ
忘れ去り
投げ込む疑似餌
せわしく結ぶ
結んだつもりが
空回り


    うねうね逃げる
    ラインが逃げる
    葦が急かす
    赤い点が指先に広がる!


振り向けば
広がり尽くした
赤い点が
天を尽くす
天にて尽きる
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