ペーニャ/末下りょう
 

歯車はなぜ回転するのか分からず また分かろうともしなかった
まだ感傷的になれる夜とかがある
疲れると痛みだす傷じゃなく
背の低い面影
未開と欠如と不在と抵抗の熱帯のネガのようなもの
バチバチ点滅する外灯に石投げるバカ
跳ね返って 土に小汚い波紋
眠れない夜がもてあます眠らない夜
人気のない市民プール ツワモノどもが夢の青 傾いたフェンス
防水の時計が発光する
わざわざそうゆうものに嵌めかえてくる卑しさがある
裸足の親指の血マメが月明かりを引きよせる
冷たくて臭い水
水面の一区画に集められて浮かぶ落葉の背中はかたい
四角のなかで四角であろうとするなら有り難い
見張り
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